先日、総務省から発表された2025年1月1日時点の人口動態調査は、日本社会の厳しい現実を突きつけました。
国内の日本人人口は、前年から約90万人も減少
これは秋田県や和歌山県の総人口に匹敵する、衝撃的な数字です。
人口減少は賃貸需要に直結するため、不動産投資家の間で不安が広がるのも無理はありません。
しかし、この全国的な縮小トレンドの中で、人口を増やし続けている場所が首都東京です。
◾️東京の「社会増」
日本の人口は2009年のピークから16年連続で減少していますが、その背景には「自然減」(死亡者が出生者を上回る)と「社会減」(他地域への流出)があります。
実は、東京でも少子高齢化の影響は例外ではなく、出生数と死亡数の差、つまり自然増減で見れば「減少」が続いています。
では、なぜ総人口は増加しているのでしょうか?
その答えは、「社会増」にあります。
地方から東京への流入(転入超過)が、自然減を大きく上回っているため、東京都は現在、人口1,400万人超を維持し、日本で唯一の「膨張エリア」となっています。
◾️今後の人口増加傾向
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、東京都の人口は2040年に1,450万人でピークを迎える見込みです。その後は減少トレンドに入るとはいえ、2050年時点でも現在の人口を上回る1,439万人と推計されています。
そして、この数字以上に重要なのが、世帯数の動向です。
総人口の伸びは鈍化しても、世帯数は増え続けると予測されています。そのカギが、社会増を構成する「単身世帯」です。2045年には東京都23区の単独世帯比率が56.9%に達する見通しで、この傾向が続く限り、ワンルームマンションの賃貸需要は非常に底堅いと言えるでしょう。
◾️東京の賃貸市場を支える2つのエンジン
東京の社会増を牽引し、賃貸需要を押し上げているのは、主に以下の二つの流入層です。
1. 夢とキャリアを追う「若年層」
直近の調査では、15〜29歳の若年層の流入が10万人を超え、特に20〜24歳の初期キャリア層が最多です。
地方との間で広がる賃金格差、そして若者に人気の高い情報通信・金融・専門サービスといった職種が東京に集中していることが、彼らを惹きつけています。特に、大学卒業後の女性にとって、地方では希望職種が少ないため、上京志向はさらに高い状況です。
また、東京に集中する約140校の私立大学も大きな要因です。進学を機に上京する流れは依然として強く、将来的な少子化を考慮しても、「大学起点の流入」は底堅く続くと見られています。
2. 国境を越えて集まる「外国籍」の人材
東京の在留外国籍人口は、この10年で71.5%も増加し、社会増のもう一つの強力なエンジンとなっています。
⚫︎在留資格の多様化:「高度人材ポイント制」や「特定技能制度」の拡充により、就労目的の外国籍人材が流れ込み、その多くが東京に居住しています。
⚫︎教育の集積地:全国の留学生の3人に1人が東京で学んでいます。大学数の多さに加え、国内の日本語教育機関の3分の1以上が東京に集中しているため、「学びから就労へ」という流れが東京で完結する構造があるのです。コロナ後の入国制限解消や円安も、この流れを加速させています。
日本全体が人口減少という大きな波に直面する中、東京は強力な「社会増」によって、その波に逆らい続けています。
総人口のピークは遠くないかもしれませんが、若年層と外国籍の流入が継続し、単身世帯が増え続ける限り、都心のワンルームマンションを中心とした賃貸市場は、今後も高い競争力を維持し続けるでしょう。
不動産投資において、この「社会増」という東京の特異性についても注目するべきポイントではないでしょうか。
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